校長室からの独り言10 慌てず、少しずつ、少しずつ・・
- 公開日
- 2022/09/27
- 更新日
- 2022/09/27
風の子情報社 校長室からの独り言支局
子供たちの絵を見ると、ものを捉えて描くことに関して、発達段階を疑うような幼稚な作品を見ることが多くなりました。上手下手ではなく、幼稚なのです。決して手抜きではないけど、幼稚なのです。図工の時間も確保され、このコロナ禍、黙々と一人学習ができる教科として重宝されたからか、様々な学校のHPにも図工の活動が多く紹介されています。今まで以上に時間が確保され指導もなされているのに、子供たちの作品が幼稚なのです。
ものを捉えて描く絵は、図工の時間だけで捉え方が身に付くのではないということなのです。奥行きや立体感覚、ものの重なりによる距離感など、様々なものの見方や感覚は、様々な体験や仲間とのふれあいという、生活経験の中で育ってきていた側面が、このコロナ禍で欠如してしまったのです。子供たちや教員、保護者の責任ではなく、コロナが原因です。子供たちは、コロナの被害者に他なりません。このコロナの期間の生活経験の欠如は、アフターコロナとなっても一時で解消できるわけではないし、経験したから即座に身に付くものではありません。少しずつ、少しずつ、感じたことや考えたことを大切に、様々な経験を積み重ねる時間を確保しながら、今まで経験できなかったちょっとした感覚を少しずつ取り戻す必要があります。足りなかったからといって、急に注入すると体は拒否します。慌てず、少しずつ、少しずつ・・・。