校長室からの独り言27 “お祭り”歴史
- 公開日
- 2023/07/06
- 更新日
- 2023/07/06
風の子情報社 校長室からの独り言支局
子供たちが、学級や学年で仲良くなるイベントを考えると必ず出てくるのが、“お祭り”企画です。たくさんの露天が並び、神輿や獅子舞、笛や太鼓の祭り囃子に心躍らせたことが、楽しい経験となり印象に残っているからでしょう。仲間との関係づくりに、楽しい経験の共有というのが理にかなっています。
一方、“お祭り”は様々な地域の生活を映し出したように、五穀豊穣や大漁、家族の安寧を願った神事は、祈りであり感謝だった元来の目的が遺産化しているのも現代かもしれません。食物の保存冷凍技術も進み、年中同じような作物や魚が並び、季節を感じなくなる程、生活が変化してきています。また、様々な地域での季節や自然、風土に左右される仕事に就く人達も減り、その地域特有のみんなの“お祭り”の事情も変わってきました。そして、“お祭り”がもつ負の歴史も地方にはかつてあったようです。暮らしに困窮した地域では、口減らしのために子供を売り払う行為が、せめて賑やかな祭りの楽しさというどさくさに気を紛れさせながら涙なからに行われたことも少なくなかったようです。いずれにせよ、“お祭り”は、人の暮らしそのものであったに違いありません。子供たちが企画する“お祭り”は、今生きている子供たちが、人との関係をつくる大切な大切な暮らしのツールとして、現代人らしく活用しているのかもしれません。今も昔も、くらしの中で一番の難題を“お祭り”が、明るい祭り囃子の調べの中で解決してくれるのかもしれません。