校長室からの独り言27 一つ一つ立ち止まって考える
- 公開日
- 2021/05/25
- 更新日
- 2021/05/25
校長室から
学習指導要領が完全実施となり、一年が過ぎました。保護者の方々からすると、何が変わったの?と、はっきりした形が見えないのではないでしょうか。昭和の学力観、平成の学力観、令和の学力観については、以前お話ししたとおりです。昭和は、知識習得が高学歴社会に向けて非常に重要なことでした。必要感があろうがなかろうが、意味理解してようがしていまいが覚えたのです。知識を確認するマークシート入試まで登場しました。成果も分かりやすかった。その後、平成になり、思考力や判断力、知識を活用できる力をもたなければいけないという風潮となり、文部科学省は「生きる力」という言葉を使い、正しい思考力や判断力を求めました。これは、オウムの事件でより明確になった、高学歴の知識偏重教育の弊害と捉えられたのです。
今回の学習指導要領では、今後出会うであろう問題に対して解決できる能力を「資質能力」と言い、その力を学力として身に付けることが求められているのです。どんな問題にも汎用的に対応できる力、問題が替わっても、くらしの様々な場面で、問いをつくり解決していく力なのです。それは、一朝一夕に育つものではありません。この理念の教育で大きく人間が分かりやすく成長するわけではありません。ただ、意識して育てることで、未知なる世界の未知なる課題を解決できるたくましい子供たちを育てるのです。成果が見えにくいからこそ、丁寧に一つ一つを考え、意識づけることが必要なのです。道徳心を育むことと似ているのかもしれません。丁寧にその都度、立場を置き換え考えたり、多様な考えを聞いて考えてみたり、くらしの中でのその繰り返しが、大人になったときの判断力となります。一つ一つ立ち止まって考えます。「ぼーっと生きてんじゃないよ」とチコちゃんに叱られないように。