校長室からの独り言40 本能を呼び起こす
- 公開日
- 2022/02/07
- 更新日
- 2022/02/07
校長室から
以前は、計算大会に漢字大会、写生大会に自画像大会、書き初め大会にカルタ大会・・・と様々な大会がありました。健康優良児を競う大会も。競争することで、個々の知識や技能を高めていくことを目標に、校内外問わず大会や競争が行われてきました。成績もテストで順位付けされ、一時代前は張り出されていたとも聞きます。受験も戦争と煽られました。しかし、ある時期から、“競争”が悪という風潮や勝ち負けや優劣を付けることが人権を尊重していないかのようになっていきました。学校でも、大会が影を潜め、運動会等の体育的行事も勝ち負けや優劣が見えないような配慮が成されるようになりました。例えば、走力や体力に関係しない競技を導入したり、似たようなタイムの子供たちで競わせたり、賞の名前を工夫したりとあの手この手で、この風潮に乗り、競争を閉じ込めてきました。
しかし、入社試験は何かしらの観点で優劣を付けられているだろうし、物を買うときは自分たちも優劣を付けて選択しています。社会に出れば、勝ち負けや優劣がある弱肉強食に違いないのです。学校で競争をさせなくなり、失敗させなくなり、次第に闘争本能も失せて草食系という若者が誕生してきたのかもしれません。先日の「命の教育講演会」でのSC深澤先生の話にあった、ストレスフルな社会には人としての成長がないというのと同じでしょう。何かを乗り越えたときの満足感や達成感、もちろん人を蹴落とす競争であってはならない。「勝った負けたとさわぐじゃないぜ!」と肝を据わらせ、様々な達成感を味わい、向上したい、よりよくなりたいという人としての本能を呼び起こすことも、今の学校には必要なのではと・・・。