校長室からの独り言35 細かなジャブが効く
- 公開日
- 2021/11/15
- 更新日
- 2021/11/15
校長室から
かつて1年生を担任したとき、算数の教科書を開くとすぐに10のブロックが並んだ図が描かれ、その下に9個のブロックが見えて、いくつ隠れているでしょうという問題、8個のブロックが見え、いくつ隠れているでしょうという問題が続くページがありました。大人であれば、10個のブロックがあって、8個見えているのなら、全体のブロック10個から、見えている8個を取り除けば、式が10−8となり2個隠れていると答えるでしょう。算数=計算と考え、そうするでしょう。しかし、足し算も習っていない子供たちに、引き算という知識はありません。どう教えるべきか困り果てていると、子供たちは、おのおのに計算セットからブロックを出し、クイズを出し始めているということがありました。
学習指導要領には、数を10のまとまりとしてみることとあります。8個を見ると2個を、2個を見ると8個と、10のまとまりが意識され、暗黙知になっていくのです。この暗黙知は、2位数の計算の繰り下がり等にも役立ってきます。1年生のはじめの、ほんの数ページがその後の計算にも大きく大きく関わり、計算の速さや理解の違いになってくるとは・・。ということがたくさんあるのかもしれません。細かなジャブが後半効いてくることが多々あるのでしょうが、意識されていないと後の祭りとなります。様々な非認知能力もそんなジャブの連続で効いてくるものなのかもしれません。効率を考えたり、成果を性急に求めたりせず、じっくり熟成させなければなりません。寄り道しながらたくさんの道草が後の人生を豊かにしていくこと、意味の無いこと、一見無駄に思えることを楽しめると、歩いている道が違って見え、それが結果的にはということあるに違いありません。